企業が扱う為替は3種類。AR・CR・HRについて解説。
揺れ動く為替相場、円安・円高に対し企業・事業はどのように関わるのが良いでしょうか?経理の観点で為替を解説します。
会計上、企業が扱う為替は3種類ある。このことを知ってもらえたらこの記事の目的は果たします。以下、にその詳細についてまとめます。
そもそも為替とは常に変化します。取引があったタイミングで都度その時の為替レートで換算して、自国通貨の円で帳簿を付けるかというと実務上無理すぎる話です。それがゆえに会計上は以下の3つのレートを定め、取引内容によってどのレートで記帳するかを定めています。
期中平均レート:Average Rate:AR
決算日レート:Current Rate:CR
発生日レート:Historical Rate:HR
1つ目の期中平均レート(AR)を一言で言ってしまえばP/L用の為替です。とはいえ分析をするうえで違和感を与え、苦手意識を生む複雑さもあるのですが、それに関しては以下の記事をまとめていますので詳しく知りたい方はそちらをご参考下さい。
2つ目の決算日レート(CR)は主にB/S用の為替になります。外貨預金や売掛金、デリバティブ金融商品などがこれで評価されます。
100ドルの現金を持っていて、今は150円の価値かもしれないけれど、決算の時には200円かもしれないし、100円かもしれない。為替によって円の価値は変わるけれど、決算日においてはいくらでした、と明らかにするレートになります。
3つ目の発生日レート(HR)は、海外 関係会社の株式評価や、海外関係会社の純資産(資本)を評価するのに利用します。
なお、上記3つの為替のまとめは超ざっくりで、事業運営上の管理理解用としてご認識ください。
例えば売上や費用といった、会計上P/L科目は原則的にはHRでの算出が必要です。ですが、一時的な海外とのスポット取引だったならともかく、定常的に取引がある会社はHRで記帳するのは現実的ではありません。
HRで計算するということは、
1日目は100ドル売上て20,000円
2日目は100ドル売上て17,000円
3日目は100ドル売上て15,000円、さらに1日目の返品があったので▲20,000を足して、▲5,000円
なんてことを、365日正しくするのはとてもややこしく、大変です。
このような背景から、今月のP/L取引はまとめて月平均の150円(AR)で計算していいよ、となるわけです。
ほかにもB/S科目も基本はCRを利用するも、1年以上の長いものだったら、HRを利用するのが良い、といった条件もあります。
厳密な計算も大切ですが、事業観点ではこういった違いがあることをご認識いただけたらまずは幸いです。その影響がどのようでてくるか、といった記事は今後まとめて行けたらと思っています。