
為替換算調整勘定を実例解説(基礎編)
為替換算調整勘定という言葉を聞いたことはありますか?普段の事業運営では考えることはほぼないと思いますが、経営者目線で見るうえでは知っておくと良い為替の知識です。たまにニュースにもなり、為替変動が激しい時には話題になりますので是非この機会に学んでもらえたら嬉しいです。
そもそも為替換算調整勘定って最初は意味も分からず覚えずらいですよね。実務では全部言うのも面倒で、略して為調(かわちょう)と読んだりします。
英語では
FCTR・Foreign Currency Translation Reserve
FCTA・Foreign Currency Translation Adjustment
と言われますが、こちらも長いので
TR・Translation Reserve
TA・Translation Adjustment
と略されることがあります。
言葉の意味ですが、EYのHPに以下の通りあります。
為替換算調整勘定とは、在外子会社等の財務諸表の換算手続において発生する、決算時為替相場で換算される資産および負債項目の円貨額と取得時または発生時の為替相場で換算される資本項目の円貨額との差額のことをいいます。
ここからポイントを抽出すると、
会計上の仕組みである(連結財務諸表)
海外子会社のB/Sの評価差額である
になりますが、その具体的な影響を実例にて解説していきます。
0.前提
10MUSDで米国で会社を設立、さらに9MUSDを銀行で 借りて事業活動し、年度末までに1MUSDを稼いだとする。
1.米国で会社設立
会社設立なので、借方は現金、貸方は資本金です。

2.銀行から借入
借入なので、借方に現金が増え、貸方は負債が増えます。

3.事業活動を通して1MUSDを獲得
売上からコストを引いた差額分(1MUSD)会社が儲かるわけで、儲けを実例上は現金が増えた(借方)として、その分は利益剰余金(貸方)が増えた、という例にしています。

この3つの財務諸表はシンプルで分かりやすいと思いますが、これが実は日本企業(日本円)の子会社だったとします。すると会計ルールに則り、親会社の連結決算のために、日本円に換算が必要になります。
では3つの財務諸表を会計上正しい為替で換算していきます。(どの為替を利用するかは以下のブログを参照ください)