
D/Eレシオを実例解説(株主と債権者の違い)
金利ある世界になることで、財務健全性という言葉が注目されるようになりました。その時、筆頭に出てくるD/Eレシオについてまとめました。また、この言葉も株主(投資家)と債権者(銀行等)で少し意味が違う点も補足します。
D/Eレシオ=有利子負債(Debt)/自己資本(Equity)
分子はDebt。企業が外部から調達した負債。
分母はEquity。株主から調達した自己資本。
有利子負債については以下にまとめていますが、買掛金等の事業遂行上に自然発生する返済義務や、利息負担のない負債以外のことです。要は企業が負っている真なる金融的なリスクです。
分母の自己資本は、貸借対照表の純資産の部で、「返済義務を伴わ ない安定的な資金源」です。株主から直接的な出資額である資本金、資本剰余金に、これまでの企業活動によって創出された利益の蓄積(利益剰余金)から構成されています。
D/Eレシオが高い場合、他人資本への依存度が高く、金利負担や返済リスクも高くなる傾向があり、財務リスクが高いとみなされます。
逆にD/Eレシオが低い場合は、自己資本比率が高く、財務基盤が安定していると評価されます。
ネットD/Eレシオ(純有利子負債比率)
企業が多額の借入金を有していても、それと同等以上の手元流動性の高い資産(現金等)を保有していれば、実質的な返済負担や倒産リスクは高くない、ということを示す、実務上、発展した指標です。
ネットD/Eレシオ=(有利子負債-現金および現金同等物)/自己資本
実例解説
例えばある会社が手持ちの200億円と借入金100億円の300億円で設備や原料を購入したとします。その時のD/Eレシオは0.5(100÷200)です。
資産(300) | 負債(100) |
自己資本(200) |
1年後、ビジネスが好調で利益が積み上がり、現金が50億円増え、自己資本も50億円増えたとします。その時のD/Eレシオは0.4(100÷250)に改善します。
現金(50) | 負債(100) |
他資産(300) | 自己資本(250) |
また、この時のネットD/Eレシオは0.2((100-50)÷250)になります。
これは鉄壁の安全性を誇っているように見えますが、物 事はすべては当事者次第というところです。
1.債権者(銀行等)
銀行からするとハッピーです。100億円貸したけれど、順調に50億円の現金を稼ぎ、このまま稼いでもらえば100億円は無事帰ってくるでしょう。D/Eレシオは低いほどありがたく、さらにはもっと借りてほしいと思うでしょう。
2.株主(投資家)
ハッピーではあるが、少し悩ましいです。というのも企業が成長してくれることを1番に願っており、成長はしているものの、それは適切な成長か、という疑念が出てきます。
なぜなら50億円の現金を企業は遊ばせているかもしれず、それだったらその分投資して、来年はさらなる成長ができたのでは?という目線で見てきます。
それがゆえに投資家は「不要な現金は持つな」と言ってくるわけです。
現金がある=成長投資にお金を回せ。それがないならもう成長しないのか。だったら、配当しろ。とにかく現金を持つは悪。という要求(考え)です。
3.企業側
すべては企業のフェーズと方針次第です。同業他社や目指す方向を示すストーリーに対する定量的根拠として語るのが一番良いかと思います。

