
信越化学がR&Iの最上位「AAA」
信越化学工業が、格付投資情報センター(R&I)から最上位の「AAA」を獲得しました。
2026年10月5日、R&Iは同社の発行体格付けを「AA+」から「AAA」へ引き上げました。これまでR&IのAAA格はトヨタ自動車、デンソー、トヨタファイナンスの3社とされており、信越化学は4社目となります。しかも、先行する3社がいずれもトヨタグループなので、トヨタグループ外化学メーカーが獲得した点でも特徴的です!
報道で紹介されたR&Iの評価ポイントには、データセンターなどAIインフラ投資の拡大を背景に、半導体材料の需要が増える見通しが含まれていました。
信越化学は、半導体シリコンウエハーやフォトレジストなどの電子材料だけでなく、塩化ビニル樹脂、シリコーン、セルロース誘導体、希土類磁石なども手がけています。半導体材料の成長機会を取り込みながら、異なる需要サイクルを持つ複数の事業を抱える構成です。
2026年3月期の営業利益は6,352億円で、前期比14.4%減でした。塩ビ樹脂市況の軟化が響いた一方、半導体市場の回復を追い風に電子材料は堅調でした。減益という一面だけを見ると意外に感じる格上げですが、格付けは単年度の利益の増減だけで決まるものではないと、改めて気づかされます。
そもそも、2026年3月期末の自己資本は4.4兆円、自己資本比率は78.7%。潤沢なネットキャッシュを持ち、大型投資や株主還元を続けても財務バランスが崩れる懸念は小さいこと、事業から安定してキャッシュを生み 出す力が、成長投資や外部環境の変化に対する耐久力につながることなど、さすがの信越化学です。
格付けは今後の環境変化によって見直される可能性があり、投資判断や株価の方向を直接示すものでもありません。それでも、国内企業でも限られたAAAの仲間に、トヨタ系以外の大手製造業が加わったことは、信越化学の長年の事業運営と財務規律が高い信用力として認められた出来事と感じました。
