OCI1
公開日: 2025.08.15  | 更新日: 2025.08.31

その他包括利益(OCI)について

ほとんど誰も意識していない利益、その他包括利益(OCI)。名前からしてその他と言われてかわいそうです。

その特殊性から全く盛り上がらないものの、事業として気にすべき点について簡単にまとめます。

まずその他包括利益の英語はOther Comprehensive Income=OCI=その他の雑多な利益。英語の方がわかりやすいと思うのは私だけでしょうか?

この項目はいくつかあって、その累計額がAccumulated Other Comprehensive Income=AOCI=その他包括利益累計額と呼ばれます。

雑多な利益にも種類があって、基本は以下の5種類になります。

  • その他有価証券評価差額金

  • 繰延ヘッジ損益

  • 為替換算調整勘定

  • 退職給付に係る調整額

  • 持分法適用会社に対する持ち分相当額

その他有価証券評価差額金:売買目的有価証券・満期有価証券・子会社株式や関係会社株式等以外の有価証券の評価損益。要は政策保有株の評価損益

繰延ヘッジ損益:時価評価されているヘッジ手段の損益のうち、ヘッジ対象の損益が認識されていないものについて生じた損益。

為替換算調整勘定:連結財務諸表を作成する際に、在外子会社等の現地通貨で作成された財務諸表を親会社が用いる通貨に換算する際に生じる換算差額。

退職給付に係る調整額:退職給付会計において発生する、数理計算上の差異や過去勤務費用などの未認識分の調整額

持分法適用会社に対する持ち分相当額:これはそのまんまですね。

これらの項目が純資産上は以下図のようになっています。

equity2

これらOCIは当期の未実現利益と言われます。決算において評価した結果の損益であり、当期には何ら影響を及ぼしていないからです。難しい本ではリスクから解放されていないとも表現されます。

政策保有株の例がわかりやすくて、今売れば100万円の価値があっても、明日売れば80万円の価値かもしれないし、120万円の価値かもしれません。ただ、会社として今だったら100万円の価値がある、これを帳簿に付けないわけにはいかないけど、実際は売ってない(未実現)から…ええい、その他(OCI)でカウントしちゃえ、となるわけです。

こうして、当期には何ら影響を及ぼしていないことから当期純利益の外で計上される利益のため、OCIは事業や投資家からはあまり重視されず、誰にも意識してもらえない利益になるわけです。

当期純利益+OCI(その他包括利益)=包括利益

事業の立場からすると、ここはほぼ調整できない範囲のために、意識は少ないかもしれませんが、可能性があるのはその他有価証券評価差額金かと思います。

もしその事業において政策保有株を所有(さらに評価額が益)しているなら、会社の会計基準次第で大きな影響があります。もし日本の会計基準ならば、売却すれば当期純利益の増に影響します。もしIFRSならば、売却しても当期純利益には影響しません

なぜならIFRSではリサイクリングの禁止(ノンリサイクリング)の原則があり、その他雑多なものが、評価されたからって、雑多なものを純利益に戻すなんて認めません、という考え方だからです。

じゃあ完全に意識しないでもよいかというとそうでもありません。一時的に利益(=当期純利益)がたくさん出ていても、来年巨大なマイナスが出るとわかっている企業には誰も投資したくないですよね?

また、利益に影響なくとも、売却により現金が手に入るので、企業の流動性は高まります。その資金で投資ができる・負債を返済できる、といった間接的な効果で事業は企業にプラスの影響を及ぼせます。

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あんも

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大企業(製造業)の経理・財務で10年以上。工場・本社・海外と各拠点での業務経験で気づいたこと等をブログにしていきます。
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