impairment1
公開日: 2023.07.02  | 更新日: 2023.07.02

減損とは?経理財務担当者以外に向けて簡単解説!

ニュースで時々聞く減損、なんだか悪いような言葉に聞こえるけれど、会社にどういう影響がありますか?という相談を他部署から頂きました。

その方もネットで調べており、言葉の意味は何となく分かっています。ですが、もっと調べると会計士や専門家のより精緻な情報になってしまい、よく分からなくなってしまう…とのことでした。また、結局財務諸表(財務三表)にどう影響するのかが分からないとも。

経理財務の専門家ではない会社員が知りたいのは、減損という事象に対し、どう解釈したらよいかというポイントだと思います。前提知識であったり、一部専門的な情報を含みますが、そんな経理財務外の皆さんがわかりやすくなるように記事をまとめてみました。

どうしても途中、経理財務寄りになりますが、最後までお付き合い、よろしくお願いします。

  1. 減損とは

  2. 減損の範囲

  3. 減損の種類

  4. 減損の手順(3ステップ)

  5. 減損の財務三表への影響

  6. 減損の税務上の影響

1.減損とは

まず減損とは、資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった時に、対象資産の帳簿価額を臨時的に減額することを減損と言います。

イメージは以下のような流れです。

・例えば100億円を支払って固定資産を購入

・毎年10億円を定額償却してて、残り簿価は30億円になった

・けれどもう30億円を回収できる見込みがない

・簿価の30億円を減額することになった=30億円の減損

2.減損の範囲

次に範囲について説明します。イメージで100億円で取得し簿価30億円、と言いましたが、会社や事業によって様々な固定資産があるかと思います。その固定資産1つ1つで減損をするわけではなく、キャッシュを生み出す最小単位で資産をグルーピングします。

言葉では最小単位と簡単に言いますが、このグルーピングを会社や事業目線で見ると、とても難しいです。

1つの調理場でも昼はカフェで夜はバーといったように、同じ設備を異なる用途で利用することは往々にしてあります。古い日本企業では、1つの設備からできる商品に改良を加え、どんどんと新しいものを作っている場合も多く、一連として儲かっているけれど、その資産のグルーピングをどこで区切るかが会計的に曖昧になってしまう可能性があるからです。

この点に関しては各社の実態と、各社の会計士の方がどう考えるか次第ですが、このグルーピングを分けた結果、減損をすることに、という可能性がありますのでそういったグルーピングの対象の方は少し気をつけなきゃ、とご記憶ください。

3.減損の種類

減損となりうる資産は3つあります。

有形固定資産

無形固定資産

・投資その他の資産

有形固定資産は、建物や機械等いわゆる設備になります。無形固定資産はソフトウェアや特許権、のれん等になります。投資その他の資産は、投資有価証券等ですが、事業部単位で持ってることは少ないと思います。

impairment2

4.減損の手順(3ステップ)

少し会計寄りになりますが、日本の会計基準では3ステップ呼ばれる手順があり、

STEP1:兆候:減損が生じている兆候・可能性を占める事象が発生しているか?

STEP2:認識:その存在は相当であり確実に発生するか、十分に認識されるか?

STEP3:測定:では最後に、その金額規模はどのくらいあるか?

というステップで減損を判断します。米国会計基準も概ね一緒です。しかし、IFRSと呼ばれる国際会計基準では兆候あり次第、即測定(STEP1からいきなりSTEP3へ)という特徴があり、各社の会計基準に則った処理をする必要があります。

会計基準によって処理が3ステップであったり2ステップであったりする点は、海外現地法人があり、ベースとなる会計基準が異なる場合などはややこしいです。特に海外拠点から本社の基準を認識せぬまま直接やり取りする場合等は要注意で、ぜひ御社の経理財務の担当者に相談ください。

ひとまず、同じ「減損」でも会計基準が異なれば判断も変わる、という事実だけご認識いただけたら大丈夫です。

5.減損の財務諸表への影響

がっつり会計寄りになりますが、この影響を認識頂くことが会社への影響をわかりやすくするかと思います。

例えば30億円の減損となった場合の会計処理は以下になります。

借方:30億円 減損損失(PLの特別損失の勘定科目)

貸方:30億円 固定資産(BSの資産科目)

つまり、PL(損益計算書)は30億円、特別損失の項目が増える=当期純利益が30億円悪化します。

次にBS(貸借対照表)は30億円、資産の項目が減る=固定資産が減少します。

これを図にすると以下のようになります。

impairment3

次にキャッシュフローへの影響について。結論を先に述べると、キャッシュフローへの影響はありません

そもそも会計上減損しました、だけでありその分を誰かに支払ったりするわけではないので、キャッシュへの影響はないです。にも関わらずキャッシュに影響あるのでは?と感じさせる惑わせるポイントは2つあるかと思います。

・(会計寄り)キャッシュ・フロー計算書に減損損失の項目がある。

営業活動のキャッシュフロー計算書に項目があるために、やっぱり影響するのでは?と感じてしまうと思います。これは、間接法と呼ばれるキャッシュフロー計算書の作成背景にあります。

実務上は現金の流出入を正確に追えないために、当期純利益を起点に、現金のプラス・マイナスを計算していくのですが、上述の通り、減損をした年は減損損失分、当期純利益が減少します。が、その分のキャッシュアウトをするわけではないために、加算項目として戻す必要があるわけです(減価償却費と一緒です)。

つまり、最初からマイナスされていた分をプラスして、結局ゼロ=影響なし、なわけですが、項目はあるのでキャッシュ影響ある?と悩みやすいのかと思います。

・(事業寄り)順番を逆に考えてしまう。

減損したからお金がないのではなく、お金がない状況になったから減損をしたわけです。

減損した場合、減損になった、資金が足りない、といったキーワードを含んで社内に通知される場合があるかと思います。そこで「減損した→お金がない」と感じてしまい、キャッシュに影響があるのか、とミスリードしてしまうケースがあります。

そうではなくて、そもそも資金がない状況を生んでしまった資産を減損(価値がない)と宣言しただけになります。言ってしまえば、過去の投資の失敗です。でもそれは先人(上司)や自分の失敗を認めることになるため、どうしても歯切れが悪くなってしまう場合があります。事業環境が変わった(外部環境)等の背景説明、さらには当時の判断は正しかったという注釈が入ったりすることになったり…。

組織全体の話で、個人ではなく職務上の失敗であり、受け止めて次に進みたいところですね。

impairment4

6.減損の税務上の影響

税金への影響についても言及しておきます。税会不一致や会税不一致といった言葉を聞いたことがある人は察しが付くかもしれませんが、会計上の損益は必ずしも税務上の損益とは一致しません。なぜなら根拠となる基準がそれぞれで異なるからです。例えば交際費が会計上と税務上の処理が違う、というのは有名かと思います。

さて「減損」においても影響があります。減損となった場合、PL上特別損失が発生する、とお伝えしましたが、これは「会計上」の話です。税務上は損金として認められません。

例えば、減損前の税引前純利益が20億円の会社が、減損損失30億円をすることになり、税引前純利益が▲10億円になりました、よって法人税は納めません、とは税務上は許されない、ということです。

この例では減損により会計上の税引前純利益が赤字になっても、法人税は減損なかりせばの20億円に課税されることになります。

つまり、利益があるうちに損を出して税金を減らそう…とは税金上はいかないということです。

そもそも減損とは会計ルールに則り、適切な手順(3ステップ)を踏んだ結果であり、会社や事業が操作して実行できたりするものではないのでご注意ください。

・・・が、これは少し建前なところでもあります。本音としては、STEPの認識であったり測定の中で、対象資産の将来稼ぐであろうキャッシュの計算が必要で、そこは明らかに会社や事業の意思が反映されます。もし減損をしたい・したくないと思うのでしたら、この点ではバラ色の将来計画を立てることも、ワーストケースの計画を立てることも可能です。

しかし、例え会社側が操作をしたいと思っても、最終決定権は会計士側にあります。バラ色でもワーストでも、それが確度の高い将来予想かは精査されるために、結局のところ、地に足のついた計画にならざるを得ないと思います。

経理財務以外の会社員にとって必要となる情報をまとめてみましたが、お役に立ちましたら幸いです。ご一読、ありがとうございました。

最新の記事はこちら
広告
この記事を書いた人
とら

あんも

大企業(製造業)の経理・財務で10年以上。工場・本社・海外と各拠点での業務経験で気づいたこと等をブログにしていきます。
経理・財務に興味がある人や同じ業種で働いている人のキャリアが少しでも豊かになる情報を、ブログを通して提供していきたいと思います。
趣味:
旅行。投資。
資格:
  • 証券アナリスト
  • TOEIC 800点台
  • 簿記2級
広告