格付会社とは?
格付ってAが良くてどんどんアルファベットが下がっていく、といったことは知っていても詳しいことは知らない人が多いかもしれません。改めて格付会社とはどのようなものかまとめてみました。
格付会社とは?
具体的な格付会社名は?
なぜ格付会社が必要?
格付の対象は?
格付の構成(デザイン)
格付ランク比較
最後に
1.格付会社とは?
債券や金融商品、企業や政府等に対して、その信用状態(債務支払能力、信用度)に関し評価する民間企業です。
世界に格付会社は多数存在し、民間なので誰でも格付けできるわけですが、日本では金融庁に登録された信用格付業者の7社(実質5社)が対象となります。
詳細:2010年4月1日より信用格付業者制度が創設され、信用格付業の登録ができるようになりました。また、それに合わせるように金融商品取引法も改正され、無登録格付業者による金融商品の取り扱いには制限も発生、実質的に金融庁のお墨付きができた。
2.具体的な格付会社名は?
実質的には
・ムーディーズ(Moody's)
・S&P
・フィッチ(Fitch)
・日本格付研究所(JCR)
・格付投資情報センター(R&I)
の5社になります。
正確に表現すると、世界でグローバルな評価に有効なムーディーズ・ジャパン、ムーディーズSFジャパン、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン、S&PグローバルSFジャパン、フィッチ・レーティングス ・ジャパンの5社と、日本での評価に有効な日本格付研究所、格付投資情報センターの2社で、合計7社が信用格付業者に登録されています。
SFはストラクチャードファイナンスという金融分野の言葉になります。仕組み金融ともいわれ、いわゆる国や企業の格付けとは異なり、個別の金融商品を組み合わせて作成される新たな金融商品になります。ここではそう言った業界専用の格付会社もある、という事実で終わります。
3.なぜ格付会社が必要?
購入検討者・投資家にとってどの債権や金融商品を購入すればよいかの判断材料になるからです。
専門知識がなくとも、膨大な情報を処理する時間がなくとも、専門家が「信用やリスク」を数値化することで、投資家の意思決定を簡素化できるニーズから存在するわけです。
4.格付の対象は?
個別の金融商品や企業、政府等様々なものが格付けの対象です。それぞれに適合する格付けの記号・符号があります。
定まった定義はないのですが、1年以内等短期的な信用を評価するものと、長期的な信用を評価するものに大きく分類され、それぞれに指標がありますが、世間一般で有名でなじみがあるのは長期の格付(AAA等のこと)になりますので、長期用 の格付けについて解説していきます。
5.格付の構成(デザイン)
大きく3つの分類で構成(デザイン)されています。
1つ目は格付記号・格付符号です。AAAやAA、BBB等で表現する、大きな分類です。
2つ目はその分類の中での相対的な評価が付きます。上位ならばプラス、中位ならば無印(ブランク)のまま、下位ならばマイナスがつく3段分類が付加されるイメージです。なお、各社最上位ランクのAAAではつかず、その下のAA~CCCなどのランク帯にのみ付与されます。
3つ目はその格付結果に対する中・長期的な見通し・アウトルックの情報が付加されることがあります。これは各社3~5分類ほどに分かれておりますが、イメージとして現在の格付結果は、数年後も安定的か、それともポジティブ(格上確率が高め)かネガティブ(格下確率が高め)といった情報を意味します。
そして格付会社のうち、Moody'sだけがオリジナルの格付をしています。構成(デザイン)自体は同じですが、1つ目の格付記号は2桁目からが小文字のaで表現される、2つ目の相対評価は1,2,3を追加して表現される等の違いがあります。が、言葉で理解するより、図で見た方がわかりやすいので以下に比較をまとめました。
6.格付ランク比較
上記が格付のランクを比較した表になりますが、いくつか補足します。
まず表はBまでにしていますが、各社それ以下のランクも存在します。C、Dまであったりします。
次に相対的な評価はすべての格付にあるわけではありません。最高ランクのAAAに相対評価は存在せず、絶対王者としてのランクのみになります(全社共通)。その次のランクであるAAからB,C辺りまでは相対的な評価が存在しますが、それより下は再び相対的な評価はなくなります。(下限は会社ごとに異なる)
中・長期的な見通しやアウトルックは上記の表に、格付けされた会社や金 融商品ごとに追加情報として補足されるイメージになります。
また格付けにおいて、相対的な位置付けを示す単位のことをノッチと言います。例えばAA+とAAの差は1ノッチと言い、AA+とAA-の差は2ノッチと表現します。
7.最後に
格付会社に関する情報を上記の通りまとめましたが、格付行為は民間企業によるものです。つまり、ただ1つの指標でしかなく、結果や、ましてや利益を保障するわけではありません。それがゆえに信用できないといった意見もありますが、存在している以上上手く活用するしかないと思います。
例えば1社の格付結果を鵜吞みにせず、他社による格付結果もあるならば、その格付結果に大きな差(ノッチ)が発生していないか確認してみたりすることで、何らかの違和感に気付けるかもしれません。
ご一読、ありがとうございました。