調達手段の1つである社債発行業務をポイントごとにまとめてみました。次は審査関連についてです。
1.引受審査と継続開示審査
証券会社が社債の発行を引き受けるわけですが、引受人はその社債を販売して問題ないか引受審査を実施します。
社債を売って手数料で儲かる証券会社としてはぜひとも社債を発行してもらいたいわけですが、その為に投資家のお金を無駄にしてよいわけでもありません。そこで社債発行してもよい会社かを証券会社が審査するわけです。利益相反にならぬよう、別の部隊が審査することがほとんどです。
これは発行前のスポット対応ですが、発行後も半期や年度末決算のタイミングで継続的にモニタリングもされます。これを継続開示審査と言います。
社債発行後は期限が到来(=償還する)するまで発行会社が適切な継続開示を実施しているか、財務状態に課題がないか等を審査します。
どちらも引受会社からの依頼に合わせ対応が必要なので、真摯に対応することをお勧めします。
2.ロードショー(デットIR)の実施
投資家向けにロードショーと呼ばれる説明会を実施し、社債の内容を説明したりする場合もあります。
ロードショーは企業の経営陣から、投資家の質問に答えたり、社債の魅力をアピールするIRの場になりますが、必ずしも実施するわけではありません。
ただ在宅やオンラインの環境が整った影響でWEBで実施しやすくなった背景は運営コストを大きく下げることになったかと思います。また逆にこういう時代だからこそとリアルに効果があると対面で実施する場合もあります。ともあれ、会社の方針が見えますね。

3.マーケティング
事前準備が整えば実際のマーケティング期間に入ります。その期間を経て、金利条件などが確定します。
マーケティングにはさまざまなフェーズがあります。証券会社ごとに表現が少し異なったりしますので、名前だけではなく意味の確認が重要です。また実施は早い方が良いか、遅い方が良いか、それは時期とその時の込み具合(他社次第)なので、主幹事証券との会話をおすすめします。
マンデートアナウンス(起債アナウンス):発行体が、どの証券会社を主幹事に指名し、どういった調達をいつぐらいに実施するか、といった最初の条件を投資家にアナウンスする最初の日です。
ソフトヒアリング・ソフトサウンディング:アナウンスから一歩踏み込みます。一部の投資家に関心の度合いを確認し、許容できる利率水準が金額規模をヒアリングします。規模によってやらないところもあれば、1日から数日対応するところもあります。
プレマーケティング:具体的な発行の仮条件を提示し、広範囲の投資家にヒアリング。2~3営業日で実施。
条件決定:プレマーケティングで確度が高まった発行条件を決定し、社債発行の要件が確定する日です。お金が実際に払い込まれる日の4営業日前(中3営業日)に実施されることが通常です(それより短縮は今時点ではできない)。この日の朝9時30分ごろから証券会社と会話し、プライシングを確定します。
発行日・払込日:その日に資金が指定した口座に振り込まれて社債発行が完了です。
全体概要の参考に頂けますと幸いです。お疲れ様でした!