
社債実務の解説(社内手続き)
社債の発行は間接金融の銀行借入とは異なり、会社側(発行体)の希望に合わせて柔軟に資金調達ができる一方、複雑な手続きやノウハウが必要となります。
金利がある世界に向けて2024年は発行額が過去最高の15兆円規模になりました。
調達手段の1つである社債発行業務をポイントごとにまとめてみました。まずは社債発行をする上で社内で対応すべき事象、主に取締役会関連についてまとめます。
1.社債とは
社債とは企業(発行体)が投資家から直接的に資金を調達するための手段です。企業側はあまり意識しませんが、株同様に譲渡可能で、投資家間ではセカンダリーと言われ、既発債も売買されています。
2.社債発行の目的、種類、発行額を決定する
企業が社債を発行するのは資金が必要だからですが、その理由を明らかにする必要があります。それを資金使途と言います。
設備投資やM&Aのために必要なのか、運転資金として借入金以外に調達したいのか、長期性資金調達の借換のために発行したいのか。お金を出す方も納得する背景が必要です。
会社の状況に変化がないなら、一番円滑な資金使途は借換用途かと思います。設備投資やM&A用途だった場合、その投資が資金拠出に値する投資家といった追加判断等が必要になるからです。
種類とは普通社債・転換社債・劣後社債等のことです。ここでは設定した条件で元本と利払いを 約束する、一般的な普通社債で進めます。
発行額は必要な金額です。時期によっては必要な発行額を調達できない可能性もあるため、必要な金額だけではなく、調達できうる金額にも注意が必要です。

3.取締役会の対応
社債は取締役会の決議が必要です。会社法362条で多額の借財は取締役会での決議事項と定められおり、額によるとはいえ、基本的に社債は「多額」の借財と判断されるからです。
また同じく会社法362条にて、取締役会の権限として、多額の借財・社債は取締役に委任することはできないと定められています。が、会社法施行規則第99条にて募集社債の総額の上限、利率の上限を決めろと定めており、逆にそれ以外は決める必要がない=取締役に委任可能と解釈できるのが現状のようです。
実務上はそれ以外も取締役会で検討するのが好ましく、会社法676条で定められている社債の募集事項である以下の内容を取締役会で定める会社が多いです。
社債の種類および各社債の金額の合計額
社債の利率
社債償還の方法および期限
利息支払の方法および期限
社債券を発行するときは、その旨
社債管理者を定めないときは、その旨
募集社債が担保付社債であるときは、担保の内容
各社債の払込金額またはその最低金額
社債の払込みの期日
その他、会社法および関連規則で定める事項
上記条件を設定し、この範囲内での社債発行を特定の取締役に委任します、とするわけです。結果、機動的な起債が可能となります。
後述するEDINETでの開示資料は他社のデータも見ることができます。はじめて・久しぶりに準備する場合は、同業他社や参考にしたい企業の開示資料を見ると傾向がわかるのでお勧めです。
まとめると
取締役会で社債の諸条件を定義する
その範囲内で取締役の権限で社債を調達する
調達後の取締役会で、取締役は結果を報告する
の流れになります。
なお、実際に社債を発行する際に「発行登録追補書類」をEDINETで提出しますが、取締役会の議事録も添付書類として提出します。
つまり他社の取締役会の議事録例がみられるので同業他社等気になる会社の発行登録追補書類を見てみるのは面白いと思います。
ご一読ありがとうございました。次は開示対応について解説します。
