
失敗の科学(読書感想)
マシュー・サイドさんの「失敗の科学」を読んで、JTCの経理財務の立場としてのためになったこと・感想等を自分の備忘録としてまとめます。
1. 進歩を阻む「二つの壁」
なぜ人は失敗から学べないのか、その原因を「外」と「内」で分析。
【外的な壁】非難の文化(犯人探しバイアス)
ミスが起きた時、原因究明より「誰のせいか」を優先する組織では、情報は隠蔽される。
対策:
「公正な文化(ジャスト・カルチャー)」の構築。ミスを個人の責任に帰せず、システムの欠陥として捉える。
【内的な壁】認知的不協和
自分の信念と事実が矛盾した時、人は事実をねじ曲げて「自分は間違っていない」と信じ込む。エリートやベテランほどこの傾向が強い。
対策:
失敗を「自己否定」ではなく「仮説の更新」と定義し直す。
2. 学習を加速させる「二つのアプローチ」
マクロ:クローズドループからオープンループへ
航空業界のように、失敗を即座にデータ化し、全員で共有する仕組みを作る。
RCT(ランダム化比較試験)を用い、直感や物語(講釈の誤り)ではなく、客観的なデータで判断する。
ミクロ:マージナル・ゲイン(微差の蓄積)
大きな問題を切り刻み、小さな改善を積み重ねる(例:プロサイクリングチーム、F1)。
「完璧な計画」よりも「高速な試行錯誤」がイノベーションを生む。
3. 実践的なアクション・マインドセット
事前検死(プレモーテム):
「もしこのプロジェクトが1年後に失敗したとしたら、原因は何だったか?」をあらかじめ議論し、死角を潰す。
成長型マインドセット:
失敗は才能の限界ではなく、脳が成長しているサインであると捉える。
フィードバックの確保:
「暗闇でゴルフ」をしない。自分の行動の結果が、すぐに、明確にわかる環境を作る。
4.JTC×経理財務におけるポイント
報告を評価する: ミスでもネガティブなことでも報告したことを評価する。叱責すると、ミスは隠される。処罰のアイテムではなく、業務改善するための貴重なデータという考え。
なぜは人ではなく、仕組みに対して: ミスをすると無意識で自分を守るためのウソをついてしまったり、記憶を改ざんしてしまう(認知的不協和)。個人の性格・誠実さではなく、人は間違える前提では発生してしまう課題。チームワークやワークフローの仕組み・システムのどこに欠陥があったかに注力
マージナル・ゲインを数字で追う: 経理財務こそ数字で語れ。会社法・会計基準等仕組みそのものを変えることはできないけれど、そこに行くまでのプロセスを細かく分解し、1%の改善を積み重ねること。そのためには小さな失敗は重要で、それを学習の機会として、改善を重ねるのが最適。
