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公開日: 2026.06.20  | 更新日: 2026.06.20

コーポレート・ファイナンス実務の教科書(読書感想)

松田千恵子さんのコーポレート・ファイナンス実務の教科書を読んで、JTCの経理財務の立場としてのためになったこと・感想等を自分の備忘録としてまとめます。


1. 「利益」は意見、「キャッシュ」は事実

かつての日本企業は「売上至上主義」だったが、現代では「キャッシュ(現金)」こそが正義。なぜなら、利益は会計操作である程度「作る」ことができるが、キャッシュは嘘をつかない。

  • 押さえておくべき重要指標

    • フリーキャッシュフロー (FCF): 債権者や株主に自由に分配できる「余剰」の現金。これが企業の真の体力。

    • EBIT / EBITDA: 支払利息や税金、償却費を差し引く前の利益。国による税制の違いや、会計上の償却方法に左右されずに「稼ぐ力」を比較可能。

2. 負債(Debt)か資本(Equity)か:究極のバランス

企業価値最大化に向けた「資本構成」の最適化を意識する。負債の節税効果やレバレッジ効果の活用。

項目

負債(Debt)

資本(Equity)

コスト

低め(節税効果あり)

高め(株主の期待リターン)

返済義務

あり

なし

ガバナンス

債権者による制約(コベナンツ)

株主による経営参加

3. 資本コスト(WACC)をどう下げるか?

投資家が期待する見返り=企業にとってのコスト(資本コスト)。このハードルレートを上回るリターンを出さない限り、企業価値は上がらない。

経理財務部門としては「売上アップ」以外のできることを実施。

  • 最適な資本構成の追求: 安い負債と高い資本のバランスを整え、全体のコスト(WACC)を下げる。

  • 情報開示(IR): 投資家との対話を通じて「不確実性(リスク)」を減らし、期待リターンを下げさせる。

4.資金調達とM&A:手段を目的化しない

お金の集め方は、銀行借入、社債、増資、アセットファイナンス(証券化)など多様な手段あり。

  • 銀行との付き合い方

    • 銀行は「期日までに返せるか(キャッシュフロー生成能力)」を重視。

    • 契約に含まれるコベナンツ(財務制限条項)は、いわば「守るべきルール」。これを破ると「期限の利益」を喪失し、一括返済を迫られるリスクがあり。

  • M&Aの罠

    • 手段か目的化:M&Aは「時間を買う」手段だが、多くの企業が「買うこと自体」が目的になりがち。

    • のれんの呪い: 日本基準では償却可能だが、IFRSでは非償却。ただし、業績が悪ければ一気に「減損」として損失が発生なので注意。

    • シナジーの幻想: 投資家は自分で分散投資できるため、単なる多角化(コングロマリット)を嫌う。


実務の教科書とあるだけあって、とても詳しくわかりやすくまとまっていて、もっと早く出会えていればと思いました。

コーポレート・ファイナンスの中でもすべてを担う人はCFOかと思いますが、多くのJTC経理財務はその一部を担っていると思います。どうしても自分の業務範囲しかわからないことが多いですが、企業の全体概要を知れる為になる本でした。

コーポレート・ファイナンス実務の教科書

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あんも

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大企業(製造業)の経理・財務で10年以上。工場・本社・海外と各拠点での業務経験で気づいたこと等をブログにしていきます。
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