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公開日: 2022.02.06  | 更新日: 2022.07.02

不公平の象徴?住宅手当を経理目線で解説!

福利厚生と聞いて皆さんどう思いますか?ネガティブに思う人は少ないと思います。そもそも言葉の意味は「企業が従業員に対して給与以外の報酬やサービスを提供すること」。給与以外にも福利厚生の手厚さが従業員の満足度を上げることもできるので、会社としても福利厚生に力を入れることが多いです。

就職・転職するときにこのポイントを確認することも重要ですが、ただ内容を聞いただけで満足していませんか?ですが実際に受け取ろうと思うと条件があってもらえないことも・・・。福利厚生は生活に直結しているため、ぜひこの機会に福利厚生について考えてみてください。

まず会社が福利厚生に対しお金を使う場合は福利厚生費と呼ばれる科目で処理されることになりますが、実はこの費用も法定福利費と法定外福利費の2種類あります。

法定福利費とは、健康保険・厚生年金保険・雇用保険など、様々な法律などで「会社の負担が義務付けられている費用」になります。

それに対し法定外福利費はそれ以外のもの。会社が独自に決定するので、様々な福利厚生があり、会社のPRにも使われます。その中でも一番有名かつ影響が大きいものが「住宅手当(家賃補助)」だと思います。

この住宅手当、人事目線で見ると、同一労働を提供しているのに、雇用形態の違いや従業員の属性の違いだけで手当をもらえない不公平感が発生することがあります。それに賃貸だから、親が近くに住んでいるから、結婚しているから、子供がいるから、何歳以上だから…という様々な条件が付いて支給されている住宅手当の場合は成果主義や能力主義などの観点からすると全く逆方向の考えですね。

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では経理目線ではどうでしょうか?少々違った景色が見えます。ポイントは税金です。

まず現金などで支給される住宅手当は実質的な給与とみなされ、所得税の課税対象となります。例えば所得税率が20%の人の場合、住宅手当で月5万円もらうとすると年間で60万円の所得増加と見なされ20%相当の12万円を納税することになります。細かくいうと、所得税のほかにも住民税、社会保険料も課されることになります。

会社としてはせっかく支払っているのに課税されて全額従業員に還元できない…ということになり、税金分を何とか支給できないかと節税対策に踏み込んで考える会社も出てきました。それに応じるように会社制度次第で住宅手当を所得から取り除くことができる方法が実はあります。

それは会社が物件を契約し従業員へ提供する社宅方式です。この方法にも従業員の負担分は適切か、過度な家賃を補助していないかなどの条件はありますが、要件を満たせば住宅手当分は所得と見なされず税金が増えないメリットがあります。会社としても家賃相当は会社の経費と見なすことができるので法人税を減らす効果があるのでWin-Winな関係です。

といいつつもデメリットも多いです。従業員は、好きな物件に住めない可能性があります。社員ごとに個別契約が面倒で借り上げ社宅の場合は、まるで会社に監禁されているよう…と思う人もいるでしょう。ほかにも同棲を禁止されるなど「会社が要求する各種ルールに従う」必要が出てきます。会社側も面倒な不動産の契約業務等をこなさなければいけません。(社宅なのですからそりゃそうなのですが)

会社としてさらに厄介なのは一度設定した手当を変更したり、撤回したりしにくい点です。1度利得を受けた人がそれを手放さないといけないときは嫌がるもので、多くの従業員に関わる住宅手当となるとなおさらです。

会社は住宅手当を従業員の数、影響金額を元に影響額を考慮し決定しています。よって日本の昔ながらの会社で、従業員も多いいわゆる大手・大企業では、この社宅制度がまだまだ残っているかと思います。そういう会社は実は額面に出てこない法定外の福利厚生で数十万円実質所得が含まれていたりする背景があるわけです。転職や就活をする際はこれらの点もしっかり確認しておきましょう。

しかしこれらのルールって各社どれくらいの頻度で見直しているのでしょうか?昔から設定されていて、その恩恵を多く受けている従業員の中からこの制度を見直そうという動きはなかなかない気がします。税金を減らし、実質所得を増やそうという制度はよいのですが、会社のリソースをそれ以外に回してもっと付加価値をつける本来の業務に割くのも1つの選択だと思います。

また、こういう社宅業務を代行する会社もあります。が、従業員からするとその社宅がないと生活できないような給与体系だったら生活そのものを管理されている気がして嫌ですよね。結局、税金やお金のことは大切ですが、企業にとって従業員が働きたいと思える環境や制度を整備することが大切だと思う次第です。

ともあれ福利厚生を調べると意外に会社の色や方向性がわかるので、自分の価値観と似ているか調べる1つの指標になるかもしれません。

同じ福利厚生の家族手当についても調査してみましたので、宜しければこちらもご参考いただけましたら幸いです。

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この記事を書いた人
とら

あんも

大企業(製造業)の経理・財務で10年以上。工場・本社・海外と各拠点での業務経験で気づいたこと等をブログにしていきます。
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