持株会の合理的な運用方法
持株会、何となくやっていないという人も多いのではないでしょうか?メリット・デメリット等いろいろと記事はありますが、株だしちょっと敷居が高いかもしれません。ですが初心者こそ持株会で購入すべきです!なぜなら勝率が高いからです。
勤めている会社に持株会がある
奨励金がある
持株移管や売却に制約がない(あっても数カ月)
毎月購入可能で、短期間で売却可能単位(100株)を達成できる
上記条件を満たす人は持株会をお得に活用できると思います。またすべてを満たせなくとも、他社の株よりはまだまだ勝率が高い株になるので、ぜひご一読頂けたらと思います。
そもそも持株会とは持株制度により株式を取得する組織のことで、持株制度とは「金銭を拠出し会社の株式を取得する仕組み」になります。
実態については東京証券取引所が毎年、従業員持株会の状況調査結果を報告しています。2022年6月のレポートによると、東京証券取引所上場内国会社3,752社のうち3,239社が従業員持株制度を有しており、86%もの会社に持株制度があると報告しています。
上記調査対象会社は2021年3月末時点の情報で、大和証券、SMBC日興証券、野村証券、みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券と持株会の事務委託契約を締結している会社数の情報になります。
金額では調査対象会社の時価総額が約714兆円に対し、持株会全体で約7兆円、つまり約1%分を持株会が保有していることになります。
奨励金についても報告されています。3,239社のうち112社(3.5%)は奨励金がないものの、残り3,127社は奨励金があり、さらに10%以上の奨励金がある会社は1,514社(47%)あるようです。そしてこの奨励金が大切なポイントです。この奨励金分は実質タダで株を入手できるからです。
しかし安く手に入れても、売るときに損はしたくないですよね。では「損」とはどういう状態でしょう?取得株価を下回る株価で売却したら「損」でしょうか?
確かに見た目はマイナスに見えますが実はそうではなく、奨励金分既に儲かっているといえるので、奨励金の分を超えるマイナスがなければ「損」していない、と考えることが大切です。
…と、そんなことを言われても損したら凹みますよね。そうならないために自衛できることはリスクを下げることです。
リスクを下げる1番良い方法は、株を持たないこと。つまり、手にした持株をすぐに売ってしまうことです。(現金もインフレリスクがある等の話は今はなしです。)個別銘柄、皆さんの会社の株価次第ですが、そもそも取引しやすい株価だったり拠出額を上げたりすることで、毎月ペースで売買可能となる状況を作り出せる場合は最高です。なぜなら奨励金で安く手に入れた持株を翌月売ってしまうことができるからです。
では翌月、1か月後に株価がどうなっているかが気になると思います。未来のことは誰も予想はできなくても、過去から推測することはできます。
20年1月~21年12月までの22年間で翌月に10%以上下落した月は3%しかありません。
奨励金を10%もらっている人は翌月に売れば実質97%も勝てた勝負ということです。奨励金が5%の人も8割近くは勝てた勝負になります。
ただし2点ほど補足しておきます。
1点目は、株の売買上は損する可能性がある点です。株価が低い時に売買することにもなるので、取引上はマイナスになります。ただし、その株を取得するときに奨励金が会社から出ているから実際は得している、と考 えることが重要です。これは他の株取引で売却益を出している場合は損金通算できるメリットにもなりますね。
2点目は、強い心をもって売り続けることです。このスキームは過去の確率を元に考えており、まだいいや…と売らずに持っておくとリスクは高まります。このリスクは正負どちらにも起こりうるので、持ち続けておくことでいつかプラスで売買できるかもしれないですが、同様に更なるマイナスとなってしまうこともあります。ここはどれくらいリスクを許容できるか個人の許容度次第になりますね。
また、上のグラフはあくまで日経平均です。じゃあ自社株だったらどうなる?というのが気になりますよね。そこで特定の銘柄の月別騰落率の出し方・そのグラフ化等の求め方は別途ブログをまとめていますので、参考にいただけたらと思います。
なお、この方法は投資家の利便性を向上するために2018年10月から株の売買単位が100株に統一され、過去高額だった株価も一律取引しやすい価格になったことなどで可能となる戦略です。今では当たり前でもこういう変化で、市場が活性化されることはいいことですね。
もちろん奨励金にも拠出上限金額があったり、インサイダー取引規制等で売買ができなかったり、役職や立場上売ったら周りに色々と言われる…とか種々の条件があるかもしれませんが、濡れ手で粟のように苦労せずに利益を得ることはできません。これらの苦労が可能な方に、むしろ会社制度を利用してやる!という形でぜひ挑戦してみてください。