
【受講レポ】AI経営寄付講座1_AI×JTC×経理財務
AIについて学びたいと感じていたところ、東京大学大学院 工学系研究科 松尾・岩澤研究室(以下、松尾研)のAI経営 寄付講座 AI Business Insights 2026(以下、AI経営寄付講座)を知り受講しました。松尾研といえば日本を代表するAI研究の拠点なので、大変貴重な機会を得たと感じています。
本記事はAI×JTC×経理財務の観点から、受講を通して得た学びや気づきをまとめた雑記帳です。
AIとの相性は悪め
JTCがAIを使わない理由はシンプルです。「情報漏洩」や「守秘義務」と言えば、議論はそこでほぼ止まってしまうからです。提案する側もAIを知り尽くしているわけではないため、大丈夫と断言できません。同様に、決裁者である上司も業務の責任範囲はあるものの、その範囲外にある「不確実な新しい技術(AI)」のリスクを取る権限まではないのが実情でしょう。
今や当たり前にあるPCやスマホ、インターネット、これらが企業内で普及するとき、どうやって増えていったんでしょうね?AIをいかに社内で浸透させるかが将来の企業価値を高める地固めになると感じます。また、それを先んじて導入し、失敗事例を繰り返した企業がより成長できるのではないかと思います。
AIのリターンとは
AI導入の難しさは、リターン(費用対効果)の定義が難しい点にもあります。個人レベルでは「新しい手段を得ること」や「学習効率が上がる」といったリターンを実感しやすいですが、組織となると複雑です。
さらに、AIでできることは年単位どころか月日単位で進化します。現時点の技術を組織として承認し、ルール 化して運用を始めたころには、その技術はもう「当たり前」になり、陳腐化している可能性さえあります。
例えばGoogleのNotebookLMを知ったときは衝撃を受けました。これに社内規程を読み込ませれば、スタッフの確認業務は一気に楽になります。けれど、社外秘情報はアップロードできません。当社はMicrosoftのCopilotが利用可能ですが、導入当時は特に精度に課題があり、Googleの方が賢く感じました。(機密情報の観点から、直接的な比較検証はもちろんできませんでしたが…)
スタートアップや中小企業が機動的に新技術を取り込み業務に落とし込んでいるのに対し、大企業は従来のやり方を簡単には変えられません。AIは、個人や中小企業の負荷を劇的に下げる力を持っています。裏を返せば、AIはJTC(大企業)の強みを相対的に低下させているとも言え、当事者として危機感を覚えます。とはいえ、組織力や規模の経済といった強みも、まだ残っていると信じたいところです。
経理財務におけるAI
JTCにもAIは普及し始めています。特に製造業の現場では様々な取り組みがあり、効果が出ているという記事も見かけます。経理財務分野では、画像認識機能の向上により、請求書処理や経費精算での活用が目立ってきている印象です。
コングロマリット企業になると、取り扱う商品の多様性から一律導入は難易度が高い気もしますが、今後は月次決算や決算処理へのAI導入が進めば、より良い環境になる気がします。
実務担当としては、AI活用による「業務負荷削減」が一番の目的だと感じます。手段を増やして仕事に活用し、ラクができる世界を目指したいですね。「AIに仕事を奪われる」と危惧する声もありますが、実際は逆で、AIを知らないと、今後仕事ができなくなる(価値が出せなくなる)のだと感じています。

講義感想
第1回:AI時代のビジネス戦略
識者の登壇を聞く中で、「AIのスピード感を楽しむ」「昔のものに固執しない」という表現があり、これこそがまさに今のAIとの付き合い方だと感じました。今必要なのは、最 新技術の習得以上に、AIを通じたマインドセットの変容なのかもしれません。
人それぞれAIに期待することは異なりますが、なぜかシステムやITに関しては100%の精度を求めがちだと感じています(JTCか経理財務の職業病?)。絶対を追求するプロフェッショナルな姿勢には感動がありますが、生成AIに求めるべきはそれとは少し違うと考えます。
第2回:技術戦略(Physical AI)
Physical AIの話がありました。「物理的な機械の体を持つAI」程度の認識でしたが、観測→認識→判断→行動という処理を通じて実世界に直接働きかける技術だという説明を受け、理解が深まりました。 このプロセスを経ることで、今まで自動化できなかった領域まで機械化が可能になるわけですね。
従来は観測・認識・判断・行動を個別処理しているようですが、これらを統合して考えるモデルの登場や、イレギュラー処理へのLLM活用など、可能性が広がっていることも知りました。この先には自動運転の未来が待っているそうで、漠然と「本当に来るのかな」と思っていた未来が、技術のステップを知ることで現実味を帯び、わくわくしました。
また、どうしても膨大な学習データ量を持つ者が強い世界になるため、資金力のある米国・中国が優勢なようです。自分事に置き換えると、JTCにおいては工場や現場が持つデータをどこまで活用できるかが勝負の鍵になりそうです。
受講を考える方や仕事でAIを活用したい方の一助になれたなら幸いです。
